不完全な空間

東京都新宿区 | 事務所兼住宅

壊す。活かす。定義を変える。

建築家の事務所兼住宅として、築60年を超え倉庫として使われていたコンクリートブロック造の建物をリノベーション。図面が残されておらず、解体してみないことには全容がわからないという難しさがありました。そこであえて設計図面は引かず「良いところも悪いところも極力受け入れる」という方針のみを定め、工事会社とともに手探りでかたちにしていきました。

事務所として利用する建物の1階部分は基礎部分まで解体し、基礎梁を現し(柱や梁などの構造体を露出させる仕上げ)に。既存の床より50cm下がった床レベルを今回の生活レベルに設定しました。基礎梁によってつながっていながらも分断されている3つの空間を、それぞれ打ち合わせスペース、作業スペース、給湯スペースに設定。あらたに造作したのは、元の生活レベルと今回の生活レベルの段差に対するステップの役割も兼ねたベンチのみ。解体跡や釘なども撤去、補修せずにそのまま残し、解体跡に合わせてアート作品を展示したり、釘をフックとして植物をかけたりするなど、その後のインテリアの手掛かりとしました。

DATA

  • 所在地

    東京都新宿区
  • 用途

    事務所兼住宅
  • 仕様

    コンクリートブロック造2階建
  • 延床面積

    90㎡
  • 設計

    あのね
  • 施工

    関口建築
  • 写真

    Miki Yamasaki